コラム・チェックポイント

2020.05.13 上田 晃一朗

税務調査は理由付記を狙え

裁決の紹介
国税不服審判所がだしている公表裁決(裁決年月日:平成26年9月1日)の紹介です。

裁決の要旨は,
「請求人は,新聞図書費として1,790,818円を必要経費に算入しているが,当該新聞図書費は,…支出金額11,544円以外の金額は,明らかに区分することができないことから,所得税法第45条第1項第1号に規定する家事関連費等に該当する。したがって,当該新聞図書費のうち1,779,274円は,雑所得の金額の計算上必要経費に算入されない。」
→「一部必要経費として認められる費用についてその金額を示しているのみで,具体的にいつ,誰に対し支払った,どのような内容の費用を必要経費として認めたのかを特定しておらず,その結果として原処分庁が必要経費として認めなかった費用がどの費用であるかも特定されていない。」
→「理由の記載には不備がある。」

本裁決のポイントは,11,544円という金額のみが明示されており,それが,どの支出を指しているか分からないとういう点になります。

国税としては,11,544円という金額を,納税者が,いつ?どこに?支払ったものであるか等の詳細を,具体的に理由として明示する必要があったということになります。

これのみを理由に,本処分は取り消しになりました。理由付記の怖さを如実に表した裁決となります。

不服申立ての際には,まずは,「理由付記を狙え!」。