コラム・チェックポイント

2020.05.29 上田 晃一朗

「セクハラ」対応のチェックポイント

「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」が厚生労働大臣名で発表されております。
セクハラ問題について,きちんと対応することは,今後,重要性を増しそうです。

□ セクハラに対する方針を明確化し,その内容を周知,啓発していますか
セクハラがあってはならない旨の方針を明確化し,セクハラ行為者を厳正に対処する旨の方針を就業規則等の文書に規定し労働者に周知・啓発するよう「指針」は求めています。
最低限,就業規則にセクハラを禁止する旨を掲げることが必要です。
□ 苦情,相談に応じ,適切に対応するための必要な体制を整備していますか
セクハラ相談に適切に対応できる体制の整備を「指針」は求めています。
最低限,セクハラ相談に対応する担当者をあらかじめ定めて,労働者に周知するなどして,相談が可能な状況を整備しましょう。
□ 事実関係を迅速かつ正確に確認していますか
セクハラについての相談があった場合には,事実関係を迅速かつ正確に確認する義務があります。
これを怠り,相談があったことを放置していると,そのこと自体についての責任を問われかねません。
必ず,事実関係を急ぎ確認しましょう。
□ 被害者に対する配慮の措置を適正に行っていますか
被害者が自主的に退職してしまうことがありますが,そうなると,不公平感による被害感情の高まりから,熾烈な紛争が生じかねません。セクハラ問題が発覚した場合には,細心の注意を払い,被害者への対応を行う必要があります。
□ 行為者に対して適正な措置を行っていますか
セクハラの事実が確認されても往々にして問題を軽く考え,個人間の問題として当事者の解決に委ねようとする事業主がみられます。
こうした対応は,問題をこじらせ解決を困難にすることになりかねません。
真の解決のためには,相談の段階から真摯に取り組み,行為者への制裁は,公正なルールに基づいて行うことが重要です。