最近，事業引継ぎに関する案件が増えています。
親族に引継ぐ場合，従業員に引継ぐ場合，第三者に引き継ぐ相手は様々です。
株式譲渡，事業譲渡，合併・会社分割等の組織再編など方法も様々です。
引継ぎといっても，相続の問題，債務の整理，税金の処理など，様々な問題が絡みます。
このように，なかなか複雑であるため，「準備は早いに越したことはない。」とよくいわれます。

以前，一代で相当の会社をつくられた９０歳の経営者から事業引継ぎの相談を受けました。
息子に事業を引き継ぎたいということでしたが，息子は，すでに７０歳。
息子と娘婿が会社に入っていたのだが，その息子，娘，さらには嫁いだ娘までもがでてきて，三つ巴の言い争いとなり，手続きは困難を極めました。
９０歳にして，しっかりと自分の意見をもち，力強く手続きを進める経営者の態度には感服しましたが，それでも判断能力は歳相応に衰えており，それがたびたび混乱を招きました。
どうしてもっと早く準備できなかったのか・・・，そんなことを思いました。

一方で，ある４０歳の経営者から事業引継ぎの相談を受けたこともあります。
「自分もいつ何があるかわからないから，今のうちから考えておきたい」ということでした。
息子に事業を引き継ぎたいということであったが，息子は，なんとまだ５歳。
４０歳にして，自己が衰えた場合のことを考え，手続きを進めようとする経営者の態度には感服しましたが，それにしても気が早い。
どうしてそんなに早く準備するのか・・・，そんなことを思いました。

遅れれば上手くいかず，早すぎても無駄になる。
とかく，この世は難しい。