コラム・チェックポイント

2023.03.14 内田清隆法律事務所

グループ企業間で顧客情報を本人の同意なしで共有できるか?

顧客情報を共有するためには原則、本人の同意が必要

顧客情報は、通常、複数の顧客に関するデータをまとめてデータベース化されていますが、そのようなデータベース化されている顧客情報は、原則として、本人の同意なく「第三者」に提供してはならないとされています。

ここでいう「第三者」とは、提供元である事業者と本人以外の者です。
そのため、本人又は同一事業者内の他部門に、本人の同意なく顧客情報を提供することは可能です。
一方、親子会社・兄弟会社等のグループ企業間、フランチャイズの本部運営企業・加盟企業間であっても、法人格が別であれば「第三者」に該当するため、本人の同意なく顧客情報を提供することは許されません。

したがって、グループ企業間で顧客情報を共有して、共通のキャンペーンを仕掛けることは多々ありますが、そのようなことをするためには、原則として、本人の同意がなければならないのです。

本人の同意なく顧客情報を共有するためには?

上述したように、グループ企業間で顧客情報を共有するためには、原則として本人の同意が必要ですが、それには例外があります。
顧客情報を共有する前に、次の事項を「本人が容易に知り得る状態」に置いていれば、本人の同意は必要ありません。

①個人データ(顧客情報)を特定の者との間で共同して利用する旨

②共同して利用される個人データの項目
取得している顧客情報の内容によりますが、「氏名、住所、電話番号、年齢」などと記載することになります。

③共同して利用する者の範囲
グループ企業の各企業の名称を個別に列挙する必要は必ずしもありませんが、本人が共有さ れる企業の範囲を判断できるようにしなければなりません。

④利用する者の利用目的
各企業の取得時の利用目的の範囲内でなければなりません。各企業が単独でできなかったこ とを、グループ企業で共有したらできるようになるわけではないのです。

⑤当該個人データの管理について責任を有する者の氏名(又は名称)・住所・(法人の場合は その代表者の氏名)
共同利用者のうちどの企業が、開示等の請求や苦情を受け付け、その処理をするかを明らか にする必要があります。

※「本人が容易に知り得る状態」に置くとは?
例えば、次のような方法があります。
①HPのトップページから1回程度の操作で開くことができるページに継続的に掲載する。
②本人が来訪する事務所の窓口等への掲示、備付けを継続的に行う。
③本人に頒布されている定期刊行物に定期的に掲載する。
④電子商取引において、商品を紹介するHPにリンク先を継続的に表示する。