コラム・チェックポイント

2026.04.15 中島滉平

残業代は不要?管理監督者とは

労働基準法による規制
労働基準法では、原則として、1日8時間・週40時間を超える労働(時間外労働)や休日労働が禁止されています。時間外労働や休日労働をさせるには、以下の手続と対応が必要です。
・労使協定(36協定)を締結して労働基準監督署に届け出る。
・所定の割増率以上の割増賃金を支払う。

もっとも、上記の規制は、労働基準法上の「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)には及びません。つまり、管理監督者については、36協定の締結・届出がなくとも、時間外労働や休日労働をさせることができますし、時間外労働や休日労働に対する割増賃金を支払う必要はありません。ただし、深夜労働(午後10時から午前5時までの労働)に対する割増賃金は、管理監督者にも支払う必要があります。

管理監督者とは
それでは、どのような労働者が管理監督者に該当するのでしょうか。
多くの裁判例では、以下の要素を考慮して、管理監督者に該当するどうか判断されています。
①職務の内容や権限が重要か
⇒経営に関与しているか、職務の内容、採用・解雇・人事考課などの労務管理上の権限を有しているかなどが考慮されます。以下の事情があれば、管理監督者であることが否定されやすいです。
・経営会議が開催されているのに参加していない。
・部下と同じ現場業務に従事しており、マネジメント業務にはあまり従事していない。
・特定の店舗や営業所内の権限しか有していない。
②労働時間の裁量があるか
⇒自らの労働時間について裁量があるかどうかが考慮されます。以下の事情があれば、管理監督者であることが否定されやすいです。
・遅刻や早退をすると減給される。
・営業時間中は営業所に常駐する必要がある。
③賃金などの待遇
⇒管理監督者としての地位にふさわしい賃金が支払われているかどうかなどが考慮されます。以下の事情があれば、管理監督者であることが否定されやすいです。
・管理監督者ではない従業員との賃金の差があまりない。
・役職手当がない。
・役職手当はあるが、実労働時間からして低額である。残業代として計算した方が高額になる。

管理監督者に該当するかは、上記の要素を考慮して判断されます。会社の職制上「部長」「課長」などの役職に就いていたり、「管理職」として区分されたりしていても、労働基準法上の管理監督者に該当するとは限りません。

管理監督者であることが否定された近時の裁判例
以下の事情のもとで、投資信託運用会社の専門社員が、管理監督者に該当しないと判断されました。
・年俸は約1270万円であり、管理監督としてふさわしい待遇であった。
・閑散期は、比較的自由に時間を使うことが許されていた。
・遅刻や早退をしても減給されなかった。
・専門的かつ重要な業務に関与しているものの、自らの判断を示したりすることはなかった。
・週1回の管理者ミーティングに参加したことはなかった。
⇒かなりの好待遇であり、労働時間に一定の裁量があったものの、業務内容・権限からして、管理監督者であることが否定されました。

終わりに
時間外労働や休日労働をさせている労働者が管理監督者ではないと判断された場合、労働基準法に違反していることになりますし、多額の残業代の請求が認められる可能性があります。上記の判断基準を踏まえて、労働者が管理監督者に該当するか見直してみる必要があるでしょう。